社長メッセージ・中期経営計画に入れるべき数値目標、バリュードライバー型KPIで差をつけるべし

トップメッセージの数値目標

  • トップメッセージに入れる数値目標で悩んでいる
  • 会社の目指すべき数値目標を何にするかで悩んでいる
  • 会社案内や企業サイトでビジョンを語りたい

そんなことをお考えの社長!トップメッセージは会社のホームページにおける最高のコンテンツ。具体的な数値を語ることで、夢物語ではないトップメッセージを開発しましょう。

こんにちは!会社案内やコーポレートサイト制作をしているカイリキ・コバヤシ(@Kairiki_K)です。今回はトップメッセージの書き方のコツを弊社所属コンサルタントの小林さんに聞いてみました。

コバヤシ
コバヤシ

小林さん、社長メッセージの数値目標は何を選べばいいですか?

小林さん
小林さん

それでは今回はKPIについて解説します

コバヤシ
コバヤシ

ちなみにコバヤシと小林さんは名前が3文字もカブっていますが、親戚でも何でもありません。

小林さんプロフィール

東京大学卒、ノースウェスタン大学MBA。フィリップコトラーに師事しマーケティングを学ぶ。社長メッセージのつくりこみとファシリテーションを軸にした、独自の経営コンサルティングを展開しています。

安田信託銀行(現みずほ信託銀行)にて資本市場業務に携わったのち、IR/PRコンサルタントとして独立、企業コミュニケーションのアドバイザーとして20年の経験。

日経アニュアルリポートアウォード連続最優秀賞ほか受賞多数。それまで通例であったご挨拶的なトップメッセージを、トップが自らの経営哲学や経営戦略の中身を語る本格的メッセージに変えることで、アニュアルレポートの新潮流を作った。

KPIの管理にうんざりしていませんか?

「数字で語る」うえで、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)は効果的です。業績以外の数字で、企業の変化を見せるうえで、非常に有益なものです。むしろ、業績数値が結果であり過去のものであるのに対し、KPIはそれを支える未来志向の先行指標となります。

KPIとは、業績につながる重要な指標を目標として設定し、PDCAで改善していくというものです。ただし、ここでも注意が必要です。KPIと聞くと、「うんざり」とあまり良いイメージを持っていない方も多いと思います。私の友人は大手化学会社の技術者でしたが、100以上のKPIがあって、その管理だけで時間をとられ、「大変に迷惑だ」と言っていました。このように「管理のための管理」になっては本末転倒です。

「攻め」のKPIである「バリュードライバー型KPI

KPIの管理にうんざりしている方におすすめなのが、「攻め」のKPIである「バリュードライバー型KPI」です。貴社の価値創造において、とくにカギとなるプロセス(つくり込み)を特定し、そのクオリティを表わす指標をひとつかふたつ、PKIとして選びます。

できれば同業他社にはない独自のKPIを発掘できると最高です。顧客が貴社を選ぶ理由がそこにあるからです。そこを磨いていくことで、さらに強いポジションを築いていくことができます。

例えばボルボなら安全性

バリュードライバー型KPIは差別化ポイントに直結しています。例えば、同じ自動車メーカーでも、ボルボはとくに安全性を売りにしてきました。かつて、ボルボはあの特徴的な四角いボディとともに、崖からクルマを突き落すという衝撃的なCMで話題となりました。スタイルも変わり、安全性の意味も広がりましたが、ボルボは今でも安全性指標はとくに重視しています。

例えばアサヒビールの「フレッシュマネジメント」

アサヒビールの「フレッシュマネジメント」も、典型的なバリュードライバー型KPIと言えます。アサヒビールは、90年代今や伝説となったスーパードライで復活を遂げました。スーパードライのキャッチフレーズは「コクがあるのにキレがある」でした。彼らは、それまで基本的に「苦味」しかなかったビールの味に、新たに「キレ」という領域をつくりあげました。

他社は持っていない領域であり、圧倒的な差別化のチャンスです。それを言葉だけでなく、品質においても早期に確立しなくてはなりません。「キレ」を表象するものとして彼らが選んだのが“鮮度”でした。彼らは「フレッシュマネジメント」と銘打った社内運動で、製造から出荷までの期間短縮を目標に掲げ、当初「10日以内」だったのを、3年で「5日以内」へと短縮することに成功しました。

KPIは絞り込むこと

通常、差別化ポイントに直結する指標は10も20もはありません。顧客が選ぶ理由はシンプルです。ひとつ、ふたつです。カギとなるのは、顧客の理由そのものかもしれませんし、その理由の背後にあるプロセスの違いかもしれません。

選んだら、名前をつけてみましょう。いきなりKPIだの何だと言うと、社員は、また上から小難しい指示が降ってきたと思います。また、ただただ毎期のPDCAでは惰性になるので、目標にゲーム性を持たせるとさらに良いでしょう。全社員に覚えてもらい、参加してもらえるようにします。様子を見ながら、必要に応じ多少追加していきますが、決して欲張らない。増えれば増えるほど、集中力やインパクトは下がります。KPIは絞り込むことで力を発揮します。

バリュードライバー型KPIを活用して、差別化を進めてみてください。そして、その進捗を社長メッセージの中で語り、ステークホルダーとともに分かち合ってください。